一つの植物 一つの素材
◎なぜかヘンプを選んだのか?
大麻は環境に優しい持続可能な経済作物であり、生育が早く、種まきから収穫までが90〜100日という短期間で行われます。栽培が簡単で、他の作物に比べて少ない水、肥料、殺虫剤で済みます。また、大麻は土壌侵食を減少させるのに役立ち、そのライフサイクルが終了した後には自然に分解されるため、服装や繊維製品の環境に優しい選択肢となります。
産業加工した大麻はTHC含有量は0.3%以下のヘンプになり、他の繊維と混紡して、衣服、アクセサリー、家庭用繊維製品、産業用製品など、さまざまな繊維製品を作ることができます。グリーンでエコロジーなライフスタイルが注目される中、大麻繊維製品は快適で持続可能な選択肢として、環境と人間の健康に多くの潜在的な利点をもたらします。
◎ヘンプとマリファナの違い
ヘンプとマリファナの違いは、主にTHC(テトラヒドロカンナビノール)の含有量にあります。ヘンプのTHC含有量は0.3%以下であるのに対し、マリファナは10〜20%と高いため、精神活性作用があります。この違いにより、ヘンプは産業用として合法的に利用される一方、マリファナは多くの国で規制されています。
◎ヘンプのサステナブルな性質
少しの水で育つ: ヘンプは乾燥地帯でも栽培可能で、年間降水量100〜200mmの土地でも育つことが実証されています。砂漠緑化の手段としても注目されています。また、山腹地や塩分を含む土壌など、通常は農作物を育てるのに適さない土地でも質の高いヘンプが育ちます。
農薬・化学肥料が不要: ヘンプは成長が早く、雑草よりも早く育つため、除草剤を使わなくても問題なく栽培できます。害虫にも強く、農薬や化学肥料を必要としません。これにより、生態系や人々の健康への影響を最小限に抑えることができます。
大量のCO2を吸収: ヘンプは成長過程で大量のCO2を吸収します。木材よりも多くのCO2を吸収するため、環境保全に貢献します。さらに、ヘンプから作られた製品は生分解性があり、環境への負担を減らすことができます。
優れた耐久性: ヘンプは天然繊維の中でも非常に丈夫で、引張り強度は綿の8倍、耐久性は4倍です。そのため、船のロープやその他の耐久性が求められる製品に広く利用されています。
100%有効活用: ヘンプは茎、種、葉、花穂、根といったすべての部位を利用できます。繊維、糸、紡績、衣服、寝具、食品、化粧品、猫砂、プラスチック、建材などなど、多岐にわたる製品がヘンプから作られています。
◎ヘンプの歴史と日本での利用
日本では古来よりヘンプが広く利用されてきました。紀元前8000年頃の鳥浜遺跡(福井県)からは麻縄が出土しており、現代でも注連縄や相撲の横綱の化粧まわしなどに使用されています。しかし、戦後の大麻取締法の施行により、大麻の栽培は厳しく制限されました。
◎世界で進むヘンプの活用
アメリカでは、2014年に研究目的でのヘンプ栽培が許可され、2018年には全国的に合法化されました。多くの州で医療用マリファナが解禁されており、ヘンプから抽出されるCBD(カナビジオール)は、痙攣、不安神経症、炎症などの緩和に効果があるとされています。
◎ヘンプによる環境保全
ヘンプ栽培は地球環境への負荷が非常に少ない、むしろプラスになる働きをします。農薬や化学肥料を必要とせず、成長が早く、収穫後の土壌を改良する効果があります。さらに、年間降水量の少ない土地や不良土でも育つため、土地の有効活用にも貢献します。
ヘンプはそのサステナブルな性質と多岐にわたる利用価値から、今後ますます注目される植物です。日本でもその利用が進むことが期待されており、私たちがヘンプ製品に触れる機会も増えてくるでしょう。ヘンプの持つ可能性を理解し、環境保全や持続可能な社会の実現に向けて、その活用を検討することが重要です。
このように、ヘンプは私たちの未来にとって非常に重要な植物です。その利用を促進することで、環境保全や持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。